[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「長い長いゲノムの謎」

日時
2014年11月22日(土)14:00~16:00
講師
橋本 浩介(ライフサイエンス技術基盤研究センター LSA要素技術研究グループ トランスクリプトーム研究チーム 研究員)
会場
神奈川科学技術アカデミー

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2014年度の初回となる理研よこはまサイエンスカフェは、川崎市のかながわサイエンスパーク内にある神奈川科学技術アカデミー(KAST)にて開催。今回も多くのお申込があり、抽選で選ばれた約40名の方々にご参加頂きました。

レクチャー中の橋本研究員

橋本研究員が講師を担当する今回は、私たち人間の長い長いDNAの謎についてお話しました。 冒頭では「遺伝子研究の歴史」として、ダーウィン、メンデルの学説から、遺伝子研究が大きく発展するきっかけとなったワトソンとクリックによる二重螺旋の発見、そして世界の研究機関が人間の全遺伝子の解読に挑んだ「ヒトゲノム計画」が紹介されました。
このような歴史を経て、現在では比較的安価にゲノムの解析ができるようになり、さまざまな動植物のゲノム配列が次々と明らかになるなかで、人間のような高等生物が必ずしもより多くの遺伝子を持っているわけではないことがわかってきました。では、人間がもつ高次の生命機能はどこから生み出されるのか。2003年から世界の研究機関が連携して取り組んできた国際プロジェクト「ENCODE(エンコード)」では、人間のゲノムの80%の領域に機能があることが明らかになり、それまでジャンクと呼ばれていたタンパク質をつくり出さない領域にも、遺伝子の発現を制御するなど、私たちの生命維持に欠かせないさまざまな機能があることがわかってきていることが紹介されました。

参加者からのコメント

質問する参加者

後半30分間は、「イヴが人類のルーツとも言われているが、人類の大本である遺伝子というものは発見されているのか」「認知症になりたくないが、なりやすい遺伝子というのはあるのか。遺伝子の治療を受けて、認知症にならないようにできないのか」「ダーウィンの進化論が本当だとすると、人間も進化の枝分かれをしている最中ともいえるだろうか。種の枝分かれの瞬間をみることができないのか」など数多くの質問がなされ、遺伝子研究への興味、関心の高さがうかがえました。
橋本さん自身の研究に関して、「もともとコンピュータの専門家だというお話があったが、遺伝子研究でなぜコンピュータがそんなに必要なのか」という質問がありました。これに対し、「シークエンサーで比較的安価にゲノム解析ができるようになったなかで、日々大量の遺伝子配列データが吐き出されており、これらの膨大なデータを効果的に解析し、研究を進める必要性が高まっている。現在は生物学が専門でない数多くの研究者がこの分野で研究をしている。」と答え、様々な専門性を持った研究者が協力して研究が進められている現状が紹介されました。
ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました。


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